| 高木泰三行政書士事務所 |
| 国籍法の一部改正(国籍取得の届出) |
| 国籍法の改正 |
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平成20年6月4日の最高裁判所大法廷で、国籍法第3条第1項の規定が法の下の平等に反し違憲であるという判決が出されたことを契機に、
同法同条項が改正され、また罰則規定〈同法第20条〉が新設されました。
改正された国籍法(平成20年法律第88号)は、平成21年1月1日から施行されています。 |
| 国籍法第3条第1項 旧規定 |
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(準正による国籍の取得)
第三条 父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得した子で、二十歳未満のもの(日本国民であつた者を除く。)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。 |
| 国籍法第3条第1項 改正後 |
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(認知された子の国籍取得)
第三条 父又は母が認知した子で二十歳未満のもの(日本国民であつた者を除く。)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。 |
| 国籍法第20条 新設 |
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(罰則)
第二十条 第三条第一項の規定による届け出をする場合において、虚偽の届出をした者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。 2 前項の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第二条の例に従う。 ちなみに第2項の刑法第二条とは、国外犯の処罰の規定で、重大な犯罪について国外でこれを犯しても刑法を適用する、という規定です。 刑法第二条(すべての者の国外犯) この法律は、日本国外において次に掲げる罪を犯したすべての者に適用する。 |
| 改正の論点 |
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国籍法第2条の規定
国籍法第2条第1号は、いわゆる父母両系血統主義を原則としていて、子が「出生の時に父又は母が日本国民であるとき」に、子は出生の時から日本国民になると定められています。 (出生による国籍取得) 第二条 子は、次の場合には、日本国民とする。 一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。 二 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であつたとき。 三 日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき。 同条第1号の規定による国籍の取得は、出生時に日本国民たる父又は母との間に法律上の親子関係が存在することを要件としていて、出生後に認知によって日本国民との間に法律上の親子関係が生じても、同号の適用はありません。 国籍の取得 日本国籍のない者が国籍を取得するには、帰化という方法があります 〈国籍法第5条〉。 また、改正前の国籍法第3条第1項で「父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得した子」について、届出による日本国籍の取得の制度を定めていました。 同条に基づく届け出の要件は次のとおりです。 (1) 「父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得した子」であること (2) 届出時に子が20歳未満であること (3) 認知をした父又は母が子の出生時に日本国民であったこと (4) 認知をした父又は母が届出の時又は死亡の時に日本国民であったこと (5) 子がかつて日本国民であった者でないこと なお、「母」の認知についての規定はありますが(民法第779条参照)、母と嫡出でない子(非嫡出子)との間の親子関係について、「原則として、母の認知をまたず、分娩の事実により当然に発生する」と解するのが相当である、という最高裁判決があります 〈最判昭37.4.27民集16・7・1247〉。 これら5つの要件うち、(1)の要件について、平成20年6月4日最高裁判所大法廷の判決は、国籍法第3条第1項が、父母の認知に加えて父母の婚姻(つまり、子が準正子であること)を届出による国籍取得の要件としていることについて、法と下の平等の原則〈日本国憲法第14条第1項〉に反して憲法違反であると判断しました。 改正点 この判断を受けて、届出により国籍を取得するための要件のうち、(1)の要件を改め、 (1) 父又は母が認知したこと としました。 それ以外の(2)〜(5)の要件については変更されていません。 |
| 経過措置・特例 |
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改正法施行日(平成21年1月1日)より前に届出をした者の国籍取得に関する経過措置〈附則2条〉
改正法施行日(平成21年1月1日)より前に、日本国民から認知されたが、父母が婚姻していない子が、 改正前の国籍法第3条第1項の規定によるものとして国籍取得の届出(従前の届出)を行っていた場合には、 改正法の施行日から3年以内に再度法務大臣に届出をすることにより、日本の国籍を取得できることとされました。 附則2条による場合の国籍取得の時期については、従前の届出がなされた時期により異なります。 ・ 平成15年1月1日より以前に従前の届出をした者は、再度の届出をした時に国籍を取得します。 〈附則2条3項本文〉 ・ 平成15年1月1日以降に従前の届出をした者は、その従前の届出の時にさかのぼって国籍を取得します。 〈同項ただし書き〉 この違いは、上記最高裁判決において、遅くとも平成15年当時には、合理的理由のない差別として、憲法14条1項に違反するものであった、とされたことによります。 平成20年6月5日以降に、従前の届出をした場合の特例〈附則3条〉 上記最高裁判決の言渡しの翌日である平成20年6月5日以降に、従前の届出により国籍取得を希望した者については、改正法施行日までに特に反対の意思を表示しない限り、 附則2条の再度の届出をしたものとみなして、実際には再度の届出をする子tなく、従前の届出をした日において国籍を取得するものとされました。 従前の届出をしていない、認知をされた子の国籍取得に関する経過措置〈附則4条〉 平成15年1月1日から改正法施行日の前日(平成20年12月31日)までの間において、改正法による改正後の国籍法第3条第1項の要件に該当する者で、認知した父が 現に日本国民であるか、死亡時に日本国民であったとき(日本国民であった者及び改正法3条1項により国籍取得の届出をすることができる者を除く)には、施行日から3年以内に 届出をすることにより国籍を取得できることとされました。 国籍を取得した者の子の国籍取得に関する特例〈附則5条〉 附則2条1項の規定により国籍を取得した者のうち、同項による届出の時に国籍を取得した者(平成15年1月1日より前に従前の届出をしていた者)の子で、従前の届出の日以後 国籍を取得時より前に出生した子は、改正法施行日から3年以内に限り、届出により日本国籍を取得することができるものとされました。 その他 (1) 附則2条1項、4条1項、5条1項の規定による届出をする者が、天災その他の責めに帰すことができない事由によって、改正法施行日から3年以内の届出ができない場合おいて、 届出ができるに至ったときから3カ月の猶予期間を設ける。 〈附則6条〉 (2) これらの規定による届出で日本国籍を取得する者は、その時点で重国籍となる者が多いと思われるところ、国籍法第14条の国籍選択の期限との関係では、附則2条1項の規定による 届出の時(附則3条1項の規定により当該届出をしたものとみなされる場合には、改正法施行日)に重国籍となったものとみなすものとされた。 〈附則7条〉 (3) これらの規定による届出で国籍を取得した者も、戸籍に記載するための届出〈附則8条、戸籍法第102条〉が必要であり、また日本国籍留保の届出を必要とする場合もある〈戸籍法第104条第1項〉が、 従前の届出時にさかのぼって国籍を取得する場合における戸籍法上の届出をすべき起算日の定めがなされた。 〈附則8条〉 (4) これらの規定による届出をする場合に、虚偽の届出をした者についても、改正法第20条と同様の罰則が設けられた。 〈附則11条〉 |
| 届出の添付書類等 |
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◎ 平成20年12月18日 「国籍法施行規則の一部を改正する省令」(平成20年法務省令第73号) ◎ 「国籍法の一部を改正する法律等の施行に伴う国籍取得の届出に関する取り扱いの変更について」法務省民事局長通達(平成20年12月18日民一第3300号) ◎ 「国籍法及び国籍法施行規則の一部改正に伴う戸籍事務の取扱いについて」法務省民事局長通達(平成20年12月18日民一第3302号) 省令において、国籍取得の届出をする場合の添付書類が明示されました。 (1)認知した父又は母の出生時からの戸籍及び除かれた戸籍の謄本又は全部事項証明書 (2)国籍の取得をしようとする者の出生を証する書面 (3)認知に至った経緯等を記載した父母の申述書 (4)母が国籍の取得をしようとする者を懐胎した時期に係る父母の渡航履歴を証する書面 (5)その他実親子関係を認めるに足りる資料 ・ やむを得ない理由により(3)又は(4)の書類を添付できない場合には、その理由を記載した書類を提出する ・ 認知の裁判が確定している場合には、(3)ないし(5)の書類は添付を要しない 〈省令第1条第5項〉 ・ (5)の資料については、各事案ごとに判断されるべきものですが、上記3300号通達において次のようなものが例として挙げられています。 ア) 外国の方式による認知証明書 イ) 事件本人の父の日本における居住歴を証する書面(母が事件本人を懐胎した時期からのもの) ウ) 事件本人及びその母の外国人登録原票に登録された事項に関する証明書(登録時からの居住歴が 記載されたもの) エ) 事件本人とその父母の3人が写った写真 |
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