高木泰三行政書士事務所


交通事故被害者サポート

外国人の交通事故(渉外交通事故)




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ここでは、日本における交通事故で、外国人が被害者になったケースについて解説します。

日本に滞在している外国人が被害者や加害者となった場合には、一方又は双方の当事者が外国人であることから、渉外事件(渉外交通事故)となります。

渉外事件(渉外交通事故)の場合には、当事者の双方が日本人である場合と異なった問題が生じます。

当事務所では、在留資格制度も留意しつつ、外国人の交通事故被害者の保険請求等をサポートします。


交通事故の国際裁判管轄
日本国内における事故なので、日本人と外国人間の事故だけでなく、外国人どうしの事故であっても、 日本の裁判所に国際裁判管轄が認められます。
〈マレーシア航空事件 最判昭56.10.16〉〈民事訴訟法第5条第9号〉

ただし、当該外国人の本国においても訴訟が提起される可能性があり、この場合には国際裁判管轄が競合することになり、 どちらの国の裁判管轄が優先するか争いになる可能性があります。


交通事故の準拠法
いくつかの国の法令が関係する場合に、当事者間で適用すべき法のことを「準拠法」といいます。

この準拠法を決めるのが、日本では「法の適用に関する通則法」(通則法)という法律です。

不法行為の準拠法は、原則として結果発生地とされています。〈通則法17条本文〉

結果発生地とは、交通事故の損害賠償の場合には、事故発生地と同じと解されています。

従って、日本国内の事故であれば、日本法が適用されることとなります。

例外として、事故当事者の常居地法、契約地法や契約書で合意された地の法によることもあります。〈通則法20条〉

通則法20条に基づいて外国法が準拠法とされる場合であっても、通則法22条によって不法行為の成立〈同条1項〉 及び効果〈同条2項〉については、日本法も累積適用されます。

外国法において不法行為となるような事実があったとしても、日本法では不法とならないときは、その外国法に基づく損害賠償などの処分の請求はできない とされています。

また、不法行為について外国法によるべき場合において、その外国法を適用すべき事実がその外国法及び日本法により不法となるときであっても、被害者は、 日本法により認められる損害賠償などの処分でなければ、その請求をすることができません。

例えば被害者の外国法で懲罰的損害賠償制度を採用している場合でも、日本ではその部分は否定されることになります。


また、外国法の規定の適用が我が国の公の秩序又は善良の風俗(公序良俗)に反する場合には、通則法42条により、外国法が適用されない可能性もあります。


相続は、本国法によるとされています。〈通則法36条〉

従って、外国人が日本で事故に遭って死亡した場合、その相続は、被害者の本国法によります。〈和歌山地判平9.7.2〉〈横浜地判平20.1.24〉

その相続人が当該外国人の債権債務を継承するかについても、通則法36条に基づき、当該外国人の本国法によって決まると解するのが一般的です。〈東京地判平8.2.13〉




外国人被害者に対する保険金支払の考え方
外国人が交通事故の被害者となった場合、日本人が被害者である場合とは異なり、日本における在留資格、在留中の活動内容及び滞在の可能性等を 考慮する必要があります。

なお、ここで説明する考え方は一つの例であり、この通りの支払がなされるとは限りません。


なお、外国人の在留状況を主として次のように分類し、各損害について説明していきます。

 1)永住者など
  永住者、日本人の配偶者、永住者の配偶者、特別永住者
 2)就労可能な在留資格を持っている外国人
  人文知識・国際業務、技術等の在留資格を持っている外国人
 3)就労可能な在留資格を持っておらず、日本で就労していない外国人
  短期滞在、留学等の在留資格を持っている外国人
  なお、被害者の親族等についてはこちら
 4)就労可能な在留資格を持っていないが、不法に就労していた外国人
  不法滞在者、オーバーステイ等の外国人
 5)密入国者


積極損害
積極損害とは、実費の賠償を求めるものであり、日本人の場合と同様に考えます。

消極損害、慰謝料
被害者の所得基準や、本国の生活水準が配慮されるので、損害額に日本人に比べて大きな差が出ることがあります。

自賠責保険について
自賠責保険の支払規準の適用については、外国人を特に排除していませんので、原則として日本人と同様の扱いがなされています。
ただし、逸失利益の算定等について日本人と異なる場合があります。


(1)積極損害
積極損害とは、治療費等事故により被害者が現実に支出した損害ですから、それについては全額の支払が認められます。

外国人の場合における特別な内容としては、次の2点があります。

1)渡航費・遺体搬送費
本人の渡航費だけでなく、親族や看護人、付添人の渡航費を認めた例もあります。

2)将来介護費
不法滞在中に事故に遭った者が、事故後に在留特別許可を得られたことから、日本における近親者介護基準額で算出した例があります。


(2)休業損害
日本での在留活動に制限がない在留資格を持っている場合、日本人と全く同じに算定します。

2)就労可能な在留資格を持っている外国人
就労可能な在留資格(一般的に「就労ビザ」という)がある場合には、日本において得ていた収入額を基礎として、 休業期間や後遺障害の存続期間に応じて算定します。
但し、在留期間があるので、算定の対象期間がこの期間を超える場合には、在留期間が更新される可能性が立証される ことを条件に、この更新後の期間も賠償の対象期間に含めて算定することになります。

3)就労可能な在留資格を持っておらず、日本で就労していない外国人
日本滞在中に事故にあい、本国における休業損害が発生した場合には、本国の収入を基礎として算定することになります。

4)就労可能な在留資格を持っていないが、不法に就労していた外国人
日本における現実の収入額を基礎として算定することになります。

5)密入国者
不法就労をしている者と同じ扱いをした例があります。


(3)逸失利益
1)永住者など
日本での在留活動に制限がない在留資格の場合には、日本人と全く同じように算定します。

2)就労可能な在留資格を持っている外国人
就労可能な在留資格(「就労ビザ」)がある場合には、日本において得ていた収入額を基礎として、 休業期間や後遺障害の存続期間に応じて逸失利益を算定します。
但し、在留期間があるので、算定の対象期間がこの期間を超える場合には、在留期間が更新される可能性が立証されることを条件に、 この更新後の期間も賠償の対象期間に含めて算定することになります。

3)就労可能な在留資格を持っておらず、日本で就労していない外国人
本国に帰って生活することが通常なので、本国の収入額を基準として算定すべきであるとされています。
但し、例えば留学生が、その卒業後に日本で就労する可能性がある場合には、それが考慮される場合があります。

4)就労可能な在留資格を持っていないが、不法に就労していた外国人
事故後3年間(あるいは症状固定後2〜3年間)は日本に滞在する可能性が高いから、日本における給与実額を基礎として計算し、 その後は想定される出国先(多くは母国)の収入額を基礎として計算する裁判例が多いようです。


5)密入国者
不法就労をしている者と同じ扱いをした例があります。


(4)傷害慰謝料(入院・通院の慰謝料)
全ての場合について、日本人の場合と同額とするとされています。



(5)後遺障害の慰謝料
1)永住者など
日本人と全く同じように算定されます。

2)ある程度の長期滞在が見込まれる場合(就労可能な在留資格を持っている場合等)
日本人の場合を基準として、将来の在留期間、日本や本国における就労の可能性、本国の物価水準や所得水準等を考慮して計算されるのが通常です。

3)長期の滞在が見込まれていない場合
被害者が生活水準の低い国の外国人の場合には、日本人が被害者になった場合に比べて低めに算定している裁判例が多いようです。


(6)死亡慰謝料
1)永住者など
日本人と全く同じように算定されます。

2)ある程度の長期滞在が見込まれる場合(就労可能な在留資格を持っている場合等)
日本人の場合を基準として、将来の在留期間、日本や本国における就労の可能性、本国の物価水準や所得水準等を考慮して計算されるのが通常です。
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在留状況ごとの支払規準
(1)永住者等
全て日本人と同じように算定します。

(2)就労可能な在留資格を得ている者
日本での収入を基準に算定します。
但し、在留期間を超える場合には、期間が更新される可能性を立証されることを条件に、更新後の期間も賠償の対象期間となります。
傷害慰謝料(入院・通院の慰謝料)については、日本人と同じように計算します。
後遺障害慰謝料、死亡慰謝料については、日本人の場合を基準として、将来の在留期間、日本や本国における就労の可能性、 本国の物価水準や所得水準等を考慮して計算されるのが通常です。
但し、死亡慰謝料については、日本人と外国人との間で差を設けるべきではなく、日本人の基準で計算すべきであるという意見もあるようです。

(3)短期滞在、留学
観光(短期滞在)で日本に滞在中に事故に遭った場合に、本国で生じた休業損害については、本国の収入額を基礎として算定します。
傷害慰謝料(入院・通院の慰謝料)については、日本人と同じように算定します。
後遺障害慰謝料については、被害者が生活水準の低い国の外国人の場合には、日本人が被害者になった場合に比べて低めに算定している裁判例が多いようです。

(4)被害者の親族等
被害者の親族や看護人、付添人等の渡航費用や宿泊費用も認められています。


(5)不法滞在者
積極損害や、傷害慰謝料(入院・通院の慰謝料)については、日本人と同じように算定します。
近親者の将来介護費用について、在留特別許可を得たことで認められたケースがあります。
休業損害について、実際に就労していた場合には、現実の収入を基礎として算定します。
後遺障害慰謝料、死亡慰謝料については、現在では、被害者が生活水準の低い国の外国人の場合には、日本人が被害者になった場合に比べて低めに算定している裁判例が多いようです。

(6)不法就労者(就労可能な在留資格がない場合、不法滞在(オーバーステイ)の場合)
積極損害や、傷害慰謝料(入院・通院の慰謝料)については、日本人と同じように算定します。
休業損害については、日本における現実の収入額を基礎として算定します。
逸失利益については、事故後3年間(あるいは症状固定後2〜3年間)は日本に滞在する可能性が高いので、 日本における給与実額を基礎として計算し、その後は想定される出国先(多くは母国)の収入額を基礎として計算する裁判例が多いようです。
後遺障害慰謝料、死亡慰謝料については、現在では、被害者が生活水準の低い国の外国人の場合には、日本人が被害者になった場合に比べて低めに算定している裁判例が多いようです。

(6)密入国者
不法就労者と同じ扱いをしている裁判例が多くあり、その意見が一般的です。



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